Top / レセプト「オンライン化」に潜む罠、悪い夢


**レセプト「オンライン化」に潜む罠、悪い夢 [#z291ece6]
>&color(Blue,#FFEBCD){&size(20){''…医 科…''};};
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 紙レセプトから電子レセプトへの移行は誰が考えても一見省力化である。レセプトの山がCD1枚に保存され、地域、医療機関ごとの分析だけでなく過去との対比も可能である。
前号で紹介した小泉首相の発言は、''医療費削減のために''電算化を最大限利用とすることを前提にしている。その目的の為、今後数回の診療報酬改定などを経て次の事態が予想される。
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&color(Blue){''―進む包括化、制限される医師の裁量権―''};~
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'' 病名はレセスタで電子データ化される。''~
今後おそらく病名は全国200箇所以上の大病院で施行されているDPCの為のICD−10に準拠した詳細なコード分類が求められる。「肺炎」「高血圧」では不十分で、原因を詳細にコード化されないと低い診療報酬に包括化される方向性が残る。~
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'' DPCから得られたデータを分析し、病名毎に必要な検査、治療内容がEBM(根拠のある医療)と認知される。''~
やがてこれは標準治療として日当点か総点数で包括化される。つまり疾病の個別性を認めず、全国一律の基準で瞬時に審査・査定する。韓国はこれで審査に必要な事務員が5分の1になった。~
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'' EBMに馴染まなかったり、保険適応病名の狭い薬品を慣行で使用せざるを得ない分野・領域ではレセプトへの注釈が相当数増加する。''~
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'' しかし、レセプトへの医師の注釈は合理的な病名コードが付かない限り尊重されず、次第に医師の裁量権は事実上制限され、包括化の範囲内での裁量権に変貌する。''~
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'' 主病名と関連の薄い医療行為は緊急度が低いと判断されれば、病名がコード化されても保険者に査定される場合がある。''~
そうなると、例えば「肺炎」治療後の胃カメラなどの癌検診や本人希望の脳MRなどは保険者の事前確認が求められる。いきおい関連の少ない検査は敬遠され早期退院が増加し、在院日数が短縮する。~
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&color(Blue){''―強化される保険者の立場―''};~
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'' 同一病名で複数の病院を受診した場合、保険者は当日中にその事実を把握できる。''~
国民総背番号制が事実上合目的化される。すでに韓国では十三桁の番号が付与されている。~
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'' 現在でも保険者は医療機関との直接契約が可能になっているので、患者の受診行動を分析し本人、家族、雇用者に対して医療費の低い医療機関を推奨、誘導できる。また保険者自身の審査も可能になるので、保険者の立場が非常に強化される。''~
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&color(Blue){''―監視される日常診療―''};~
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 オンラインでは入院医療費が毎日点検されうるので、事実上、''毎日の診療内容やカルテの内容が監査される状態''になる。当然、コストを伴う診療内容の後日のカルテ記載追加、変更は不可能である。~
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'' 検査と治療も順序が違うと不適切(=EBMに反する医療)と判断され、不正請求の誹りを受け、医療監視が強化される。''~
それを嫌う病院管理者はクリニカルパスを多用するが、その内容は包括化の範囲に限られ易く、診療報酬の改定(改悪)に伴い年々劣悪になりかねず、医療の安全性が損なわれる。~
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 (包括化が進んだ場合でも)患者の個別性を尊重したまっとうな医療は包括化の枠を超えることが度々あるが、日々それは病院管理者の悩み(査定)の種となり、経営的な職員教育とデジタル化した勤務評価が繰り返され、給与は年俸制が取られ易くなる。~
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 住基ネット並みのクローズドな情報端末管理でないために、''患者情報は漏洩の危機''に曝される。~
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 ウイニーすら排除できない脆弱な国内の環境では、''悪質なウイルス感染やサイバーテロ''を受けたら、多くの医療機関は予想もつかない被害を受けるであろう。
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>&color(Blue,#FFEBCD){&size(20){''…歯 科…''};};
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&color(Blue){''オンライン請求義務化までの流れ''};~
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 平成17年12日1日、あらたに「医療制度改革大綱」が政府与党医療制度改革協議会でとりまとめられた。その中で''平成23年度よりのオンライン請求''が明記され、平成18年3月31日の閣議決議をへて、4月10日の厚生労働省令第111号交付となったわけである。
 今回の「医療制度改革大綱」は政府・与党による今後の医療制度改革の方向を決めたもので、今般の「医療制度改革法案」もこれに即したものである。ITに関しては、掘ァ岼緡堵馘正化の総合的な推進」の中の(5)「レセプトIT化の推進等」という項目にある。すなわち、レセプトのIT化はあくまで''医療費適正化の総合的な推進を目的''として行われることを明確にしている。
 社会保険診療報酬支払基金はおよそ20年前から、磁気媒体でレセプトを提出するレセプト電算処理システムを進めてきた。オンライン請求の前段階ともいえるこのシステムですら、その普及率は現在約14%(病院24.5%、医科診療所8.9%、歯科診療所0%)である。歯科において、''平成23年にオンライン請求が実施できるのか。''
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&color(Blue){''韓国の状況(※)''};~
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九六年よりオンライン請求を開始している韓国の状況を見てみる。韓国の医療保険の特徴は単一組織による医療保険で、審査及び評価と支払を分離し、審査及び評価は健康保険審査評価院、支払は国民健康公団(保険者に相当)で行われている。日本と同様に出来高払い制だが、診療報酬の点数は固定され(五年程度のスパンでの改定のみ)、1点単価は毎年改定される。13桁の総背番号が付与され、5年間の個人データを管理している。
 レセプト請求については例外的には紙レセプトも残っているが2次元バーコードをつけて内容を電子化している。また、7%は電子媒体での提出も残っているが、そのほかはEDI※1のオンラインである。
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&color(Blue){''歯科で対応できるか''};~
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韓国の状況(※)を見ても分かるとおり、オンライン請求を実現させる為には、''徹底した点数表の簡素化が必要''である。「点数表の簡素化を目指す」との当初の厚労省の考えは今回の改定においても実現せず、歯科の点数表は相変わらず複雑多岐の内容となっている。ただ、今回、今まで準用点数として算定されていたもの(例えば、ティッシュコンディショニングは歯槽骨整形手術110点の準用、歯肉側方移動術は歯肉弁移動術の準用など)が、独立した点数として明確化された。''このことは、オンライン請求を念頭に置いての、点数表の改編と思われる。''
 さらに、今回のレセプト記載要領では、記載しなくても分かる、または不必要と思われる記載事項が非常に増えた。「摘要」欄記載も膨大な量に昇っている。このように''複雑な歯科のレセプトを変換してオンライン化するなど不可能に近い。''現行の出来高請求を制限し、徹底した包括化を進めない限り、歯科においてオンライン請求は不可能であると考える。今後、平成23年までに予定されている、2回の診療報酬改定では何が行われるのか。オンライン請求実施を前提とした、包括化推進の改定を行わせないよう注視するとともに、オンラインレセプト請求そのものの問題点を再検証する必要がある。
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※1 EDI(Electronic Date Interchange、電子データ交換システム)。点数表を簡素化し、従来の条文形式からコードで定義したシステム仕様書のように整備したもの。
 EDIサービスを利用しているレセプトの審査は、基本的に審査基準などを反映したソフトで判定し、第一次のふるい分けが行われる。その後、自動判定でチェックされた案件は審査員が審査する。EDIサービス及び十三桁の総背番号により、いつ誰がどのような疾病で受診し、治療(投薬を含む)されたかが分かるようになっている。

                                     北海道保険医新聞より転載

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