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**これからの社会保障は           朝日新聞、朝刊、15面、2006年7月21日 [#i0d4e1c0]

 6月に医療制度改革の関連法が成立し、小泉内閣の社会保障改革が
区切りを迎えた。改革をどう評価し、これからの社会保障の姿をどう
描けばいいのか。「人生前半の社会保障」という新たな提案をしてい
る広井良典・千葉大法経学部教授に聞いた。(聞き手・山本修嗣)

千葉大法経学部教授
広井良典さん

ひろい・よしのり 61年生まれ。専門は社会保障論、公共政策。03年から現職。著書に
「日本の社会保障」「生命の政治学」(いずれも岩波書店)など。今月、「持続可能な福
祉社会」(ちくま新書)を出版、新たな社会保障の姿を提示した。

''限界に来た公共事業型/医療福祉重視に転換を''~

-社会保障改革は一段落しましたが国民の不信、不安はなかなか消えません。

 「日本の場合、公共事業が職を提供して生活を保障するなど、実質的に社会保障の機
能を担ってきた。農業補助金や中小企業への補助金、地方交付税なども同じ機能を果た
してきた。つまり、生産部門の中に社会保障や再配分機能が組み込まれ、ある程度の平
等が達成されてきた」

-それが限界に来た。

 「高い経済成長の時期にはそれなりに機能していた。それが80年代以降の低成長時代
になると、公共事業は業界の既得権となり、無駄も指摘されるようになった。小泉政権
はこの負の側面を一度壊し、市場経済の波に洗わせようとした。同時に社会保障的な機
能を果たしてきた政策をやめたり、減らしたりしたため、人々は保障のないところに放
り出されるようになった」~
 「一方で、社会保障的な機能を担ってきた家族や会社といったコミュニティーも崩れ
ている。公共事業型社会保障に代わる社会保障を強化していかないと、生活の不安定化
や混乱が拡大していく」~

-今の社会保障制度はその穴を埋め切れませんか。~

 「国内総生産(GDP)に占める社会保障費の割合は、先進国の中で米国と並んで低
い。社会保障には所得の再配分とリスクの分散という機能があるが、日本は医療保険の
ようなリスクの分散機能にほぼ集中してきた。再分配機能が初めて重要視される時代に
なったといえる」


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