Top / 155 参議院 厚生労働委員会 2号 平成14年10月31日

○中原爽君
 自民・保守党の中原爽でございます。
 持ち時間三十分でございますので、質疑につきましては簡略でお願いを申し上げたいと思います。

 最初に、社会保険診療報酬支払基金のことでありますけれども、この基金は既に閣議決定によりまして民間法人化するということが決定されております。それで、この臨時国会でこの支払基金法の一部改正案が提出されるわけであります。

 この支払基金は医療保険を支える基本的な制度上の仕組みとして昭和二十三年から重要な役割を担っておるわけでありますけれども、今回改正につきましては、二十三年当時にこの支払基金が設立された目的といいますか趣旨がありまして、その趣旨は現在も引き続いているわけであります。

 確認の意味で、当初、昭和二十三年当初に説明されましたこの基金の設立の趣旨について簡単に御説明を伺って確認をしてみたいと思います。保険局長、お願いをいたします。

○政府参考人(真野章君)
 支払基金は、先生御指摘のとおり、昭和二十三年の七月に基金法の制定によって設立されたものでございます。

 御案内のとおりでございますが、若干経緯を申し上げますと、社会保険診療報酬の審査、支払につきましては、戦前は日本医師会、日本歯科医師会によって行われておりましたけれども、終戦後、これが解散をさせられるということになりまして、その後、事実といたしましては、各保険者がこれを行うと。そして、そのために請求に手間取るとか、診療担当者側の事務が煩雑になるということが行われまして、保険診療の円滑な実施ということが危惧をされる状況になりました。

 そういう意味で、診療報酬担当者の事務の煩雑化を防ぐ、又は診療報酬の支払の遅延を防止するというようなことから、診療報酬の迅速、適正な支払を行い、あわせて公正な審査を行うということを目的として社会保険診療報酬支払基金が設立されたというふうになっております。

○中原爽君
 引き続きまして、民間法人化するということでありますが、法人格になるわけであります。そうしますと、この改正法の七条に、民法の四十四条、民法の五十条を準用すると、こういうことがありまして、法人のいろいろな行為責任あるいはメンバーの理事者のことにつきまして民法を準用すると、こういう格好になっております。

 しかし、性格的にこの法人格という実態はどのようなものかということをお尋ねしたいと思います。これも保険局長から簡明に御答弁をお願いいたします。

○政府参考人(真野章君)
 今、先生から御指摘がございましたように、この臨時国会に改正案をお願いをいたしておりますが、その具体的な内容といたしましては、民間法人化ということの趣旨に伴いまして、政府の出資を含みます基本金に関する規定を廃止をする、それから理事の選任につきまして、厚生労働大臣の委嘱というのを廃止をいたしまして、基金において選任し厚生労働大臣が認可をするということなどの所要の改正を行っております。  この支払基金の法人形態でございますが、これは支払基金法という特別の法律により設立される民間法人ということになっております。

○中原爽君
 そうしますと、この法人という意味は、この支払基金法によります特別な法人と、こういうことで理解をしてよろしいのかと思います。

 ただいま御説明のございました基本金を廃止するという件につきまして、これ、この改正法の附則第三条にこの返還金関係が説明されておるわけでありますけれども、政府からの拠出を含む基本金の規定を廃止する、その基本金については政府に返還しろと。それと併せまして、政府以外の保険者が拠出した金額についても返還すると、こういうふうに附則に書かれておるわけであります。

 そうしますと、設立当時が二十三年、昭和二十三年でありますから、政府が出しました拠出金というのは今から見ればわずかな金額であろうかと思いますけれども、政府以外の保険者が拠出したという中身も含めて、どういう保険者なのか。その保険者が現在も存在していると思いますけれども、そういった内訳について御説明をお願いいたします。

○政府参考人(真野章君)
 支払基金の基本金でございますが、現在は百万円ということになっております。このうち、政府から拠出された分が四十万円でございます。これは政府管掌健康保険として拠出をいたしたものでございます。この四十万円は、そういう意味で政府管掌健康保険に返還をすると。

 それから、御質問のその他の保険者でございますが、から拠出された分が残りの六十万円でございまして、健康保険組合連合会に三十万円、それから国民健康保険中央会に二十万円、それから、各種共済組合がございますが、これが合計で十万円、合計六十万円を返還をするということになります。

○中原爽君
 分かりました。

 引き続いて、支払基金というこの基金自体の基本的な業務でありますけれども、診療報酬の請求明細書、すなわちレセプトの公平な審査を行い、それに基づいて適正な診療報酬を支払うということであります。これについては、この審査あるいは支払について医療機関側、あわせて保険者側双方の信頼が得られなければいけないわけでありますけれども、こういったことについて、支払基金そのものの理事者の構成、あるいは審査委員の構成ということが適正に決められているはずでございますので、この関係のことが民間法人化になりましてもきちっと維持されるのかどうかということについてお尋ねをいたします。

○政府参考人(真野章君)
 御指摘の審査、支払等の業務運営でございますが、これはもちろん公正中立を期すと。それから、医療機関、保険者双方の信頼を確保するという必要がございまして、理事構成につきましては、現在、保険者、被保険者、診療担当者及び公益を代表する者と、こういう四者構成になっておりまして、人数もそれぞれ四者同数ということでございます。また、審査に担当される審査委員でございますが、これは診療担当者、保険者、学識経験者、それぞれ三者構成で構成をいたしまして、その人数も同数ということになっております。

 今回、改正をお願いをいたしておりますが、この支払基金の言わば業務の公正中立性を確保するというこの理事構成の四者構成、審査委員会の三者構成、これはもう維持をすべきものというふうに私ども考えておりまして、そういう内容で今改正案をお願いをいたしております。

○中原爽君
 ただいま御説明がございましたように、この支払基金が法人格という形に変わりましても、今後引き続いてこのレセプトの審査、あるいはそれに基づく支払業務ということが引き続いて的確に行われなければならないわけでありますけれども、ただ、現時点で民間法人化になりましても、その法人化になったというだけでは今後の社会情勢からいきまして余り意味がないわけでありまして、やはりこの支払基金が法人格を得ましても、その業務についてこれから電算化、IT化ということを行う必要があると思いますし、現時点でこのレセプトの枚数、七億九千万枚あるということでありまして、これを支払基金の職員、現在どのぐらいでしょうか、六千三百名ぐらいだと思いますが、そのうち審査、支払にかかわる人たちが五千二百名ぐらいというふうに伺っております。この七億九千万枚のレセプトを一枚六・六秒でめくると、そういう操作をしないと審査がし切れないと、こういうことも言われているわけであります。

 しかし、そういうことで、紙の状態から今後やはり電子レセプトのような形を普及させていくと、あるいはレセプト自体のオンラインで請求をするというようなIT化を進める必要があると思うんですが、現時点では電子レセプトの普及率が〇・四%というふうに聞いております。こういう状態で民間法人化しても、業務上は変わりがないということであってはいけないと思います。

 こういう意味で、IT化について厚生労働省としてどういう形で御指導されるのか、御説明いただきたい。

○政府参考人(真野章君)
 現在の状況は先生御指摘のとおりでございますが、私どもも、こういう膨大なレセプトの適正な処理ということでレセプト電算システムというものを取り入れて、その公正、効率的な処理を図ろうということで努力してまいりまして、今後ともこういう電算処理システムの更なる推進を行うと、それからペーパーレス化だというようなことの取組をすると一応目標を定めて努力をいたしておりますので、その一層の業務の効率化に努めてまいりたいというふうに思っております。

○中原爽君
 ありがとうございました。

 最初にお尋ねをいたしました、この支払基金が昭和二十三年七月に設立されたその当時の国会での説明がありまして、それを調べてまいりましたけれども、ちょっと簡単に読ませていただきますが、被保険者等が保険医等について診療を受けた報酬として支払う費用は、従来各保険者又は共済組合から直接支払っていたところでありますが、各保険者等から各々に支払うことは、ややもすれば、その支払遅延と診療担当者の煩雑性によって、とかく円滑な保険診療を阻害していたことは否めないと、事実であると。これらの通弊にかんがみ、今後社会保険診療報酬支払基金を設立いたしまして、従来の支払方法を改め、その支払機関を一元化したいと、こういう説明でございます。これは今も変わりがないはずでございますので、民間法人化になりましても、この点について十分御指導をお願い申し上げたいと思います。

 それでは、引き続きまして、健康増進法の第二十五条についてお尋ねをいたします。  この二十五条は受動喫煙の防止という項目でございまして、このことについて、この二十五条を読みますと、これは固有の施設名、例えば学校であるとか病院であるとか、あるいは官公庁の施設であると、そういった施設名が掲げてありまして、この多数の者が利用するこういった施設の管理者は、これらの施設を利用する人たちの受動喫煙を防止するために必要な措置を講じろと、こういうことが二十五条でございまして、要は健康、たばこを吸う弊害について、その健康状態を勘案したことなんですけれども、しかし、これは管理者がその対策を講ずるということだけの条文の説明になっておりまして、それが、管理者によって受動喫煙が防止される必要な措置が取られれば、たばこの弊害から生ずる健康を害するということについては防止されると、こういう意味であります。

 回りくどいような説明になっておりますけれども、これ、従来いろいろなたばこについての検討会がございまして、そのときには公共の場所における分煙、煙を分けるということについていろいろなことをやれと。例えば、分煙の、禁煙の箇所を完全に分割をして、たばこを、煙を吸う人、その煙を受動的に吸わされる人と、こういった区分けをきちっとしてそういった施設を整えろと、こういうことが従来分煙という意味で言われてきておったわけでありまして、その分煙を今回は受動喫煙という表現に入れ替えて、しかし、相変わらず施設の管理者が講じろと、こういうことだけの内容になっているわけであります。

 それと、一方、千代田区の条例、御承知のようにこの十月一日から千代田区の条例が出ておりまして、ここでは環境の整備という意味でこういうふうに書かれてあります。生活環境の整備に関する状況の確保の一環として、千代田区の一定の地域について禁煙の区域を設けたいということであります。それで、環境美化・浄化推進モデル地区ということでごみのぽい捨てあるいはたばこの吸い殻のぽい捨てということを禁じ、その地域については路上喫煙を禁止する区域を作る、地域を作ると、こういう条例でございます。

 したがって、この条例は十月からの施行でありますので、この健康増進法とは無関係に千代田区の条例としてこれが出ているわけであります。この罰金については二万円、当面は二千円でいいと、こういうことになっております。

 しかし、この健康増進法の内容については、いろいろ書かれておりますけれども、例えば第五条でありますけれども、少し前の方は省略いたしますが、国民の健康の増進の総合的な推進を図るため、相互に連携を図りながら協力するようにしろと、これはもう国、都道府県、市町村であります。これが第五条。それから、第七条関係につきましては基本方針が掲げてありまして、国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向を決める、それから目標を設定する、それと都道府県の健康増進計画あるいは市町村の健康増進計画を策定しなさいということが書かれてありまして、それで七条の二項の六号のところで、食生活、運動、休養、飲酒、それで喫煙と、こう出てくるわけであります。それが書かれてありまして、八条関係では、市町村は、基本的方針及び都道府県健康増進計画を勘案して、当該市町村の住民の健康の増進の推進に関する施策についての計画を策定しろ、策定するように努めろと、こういうことになっているわけであります。

 今申し上げました千代田区の条例は健康を考えているわけではありませんで、千代田区の一定の区域の中の生活環境の整備をするということが主たる目的であります。でも、実際は、快適な生活環境が整備されれば、それは区民の健康の保持につながるという裏腹の関係にあるというふうに思います。

 したがって、この健康増進法が今後この基本的方針に従って市町村に対していろいろな住民の健康の増進の推進に関する施策を定めるように努めろということを言うのであれば、こういった市の条例が今後たくさん出てくるということについて、この健康増進法の趣旨と、それからこういった都道府県あるいは市町村における生活環境の整備、あるいは別の法律でありますと、労働安全衛生法の中に、七章の二でありますけれども、快適な職場環境の整備のための措置ということがありまして、たばこのにおいや煙に係る施策について、要するに快適な職域の環境を整備しなさいということがうたわれております。これも健康について直接指示をしているわけではありませんで、労働者の快適な職場環境を整備しなさいということでたばこの煙ということが出てくる。

 こういったいろいろな条例、あるいは今まであった労働安全衛生法、こういったところの関連付けをきちっとこれから指導されるという必要性があるというふうに思いますけれども、厚生労働省のお考えとしてはいかがでしょうか。

○政府参考人(高原亮治君)
 健康増進法の第二十五条の規定でございますが、委員御指摘のとおり、多数の者が利用する施設を管理する者に対して、その施設を利用する者について、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努力義務を設置者に課しております。

 この受動喫煙防止のための措置でございますが、委員も質問の中でお触れになりましたように、事業場において講ずるべき分煙のための措置に関する指針でございますとか、公共の場所における分煙のあり方検討会における報告書であるとか、望ましい分煙の在り方が様々の観点から示されてきたところでございます。

 それで、それではその分煙が効果が上がったのかどうかということを客観的にどう評価するんだという問題になるわけでございますが、本年六月には分煙のための具体的な方法につきましてその効果判定基準を策定しまして、効果的な分煙の在り方を示したところでございます。

 また、千代田区の生活環境条例ないしは労働安全衛生法について御質問ございました。  千代田区の生活環境条例におきましては、御指摘のとおり、路上禁煙地区の設定が定められておるところでございます。この条例は、生活環境の整備を通じて安全で快適な都市の実現を図ることを本来の目的としておりますが、喫煙場所が限定されることや喫煙マナーの向上等を通じまして、結果として喫煙による健康への悪影響が低減し、健康増進にもつながるものである、こういうふうに考えております。

 今後、御指摘の具体的な内容、基本指針でございますが、様々のこういった報告書やガイドライン等を踏まえまして検討を進め、施行までにお示ししたいと考えております。  なお、たばこの健康影響が減少し、健康増進が図られることは望ましいことであり、厚生労働省としては、引き続きたばこの健康影響に関します情報の提供や受動喫煙対策などのたばこ対策の更なる推進に努めてまいりたいと考えております。

○中原爽君
 それでは、この改正法の十三条でありますけれども、国民健康、それから栄養調査に関する費用を国が負担すると、こう書かれております。たばこという意味では、たばこ税という一般的な財源があると思いますけれども、この財源をやはり健康増進法の十三条、国が費用を負担するということのかかわりでお考えになるのかどうか、この点を財務省の方に伺いたいと思います。

○政府参考人(杉本和行君)
 たばこ税収を健康増進法の推進のための財源に充当することについての御質問でございますが、この点につきましては、受益と負担の関係をどういうふうにとらえるのか、また、新たな特定財源といったものになるかと思いますが、そういったものを創設することについてどう考えるのか、さらには、今後健康増進法を推進していくための具体的な方策及びその財源の在り方をどう考えるのかといった点を含めまして、幅広い観点からの検討が必要な問題ではないかと考えております。

○中原爽君
 ありがとうございます。
 それでは、もう一点だけお尋ねをいたします。

 先般の坂口厚生労働大臣の御所見、所信の御表明につきまして、医師の臨床研修のことについてお触れになっておられますし、また厚生労働省の方も医師の臨床研修に関する省令を近々お出しになるということでございますが、これ、十五年の義務化を目指してということであります。

 しかし、一方、歯科医師の方は義務化、必修化というのは平成十八年でまだ余裕があるということでありますけれども、やはり、医師と同じように、臨床研修の必修化を踏まえて、臨床研修の指定の病院であるとか、あるいは研修のプログラムの標準化、基準化ということも必要であろうと思います。

 この進捗状況を御説明、簡単にいただきまして、それと、医師と違いまして、歯科医師の場合には研修期間が二年以上ではなくて一年以上で少なくなっているわけでございますけれども、こういったことの差についての概略の御説明だけ伺いたい。

 それともう一点は、平成十年の厚生省の歯科医師の需給に関する検討会の報告書によりますと、歯科医師の臨床研修が義務化されますと、需要と供給のバランス上、二千四百名程度の歯科医師数が削減されることになるだろう、その削減効果は二〇二五年の上位の推計で二%ぐらいになるだろうということが平成十年の報告書にあるわけでありますけれども、これが実際上、平成十八年の必修化の実施にかかわりましてどのような関係を持つのかということについてお尋ねをしたいと思います。副大臣。

○大臣政務官(渡辺具能君)
 これらの問題につきましては、中原委員、大変御精通のところでありますけれども、厚生労働省としての考え方を答弁させていただきたいと思います。  臨床研修の必修化につきましては、ただいま中原委員おっしゃったように、医師と同じように、年限は十八年の四月からでございますけれども、必修化に向けて、平成十三年九月から歯科医師臨床研修必修化に向けた体制整備についての検討会におきまして検討を進めているところであります。研修体制ですとか指導体制の在り方、あるいは研修プログラムの基準、あるいは研修施設の指定基準等の調査研究を行っているところであります。

 また、期間一年のことについてでありますが、年限につきましては、臨床研修施設数や指導医師、あるいは受入れ体制が必ずしも十分でないこと、あるいは現在の研修の実施率がまだ六割程度であり、その普及を一生懸命図っているところでありまして、こういうことを踏まえまして、いきなり長期化するより当面は研修年数を一年というふうにしたところでございます。

 今後とも、歯科医師臨床研修の必修化に向けまして体制整備を進めますとともに、平成十八年度以降に始まります研修の実施状況を踏まえまして、研修年限も含めまして、その在り方を更に検討してまいりたい、こういうふうに思っております。  それから、後半の歯科医師の需給に関する質問でございますが、平成十年五月にまとめられました歯科医師の需給に関する検討会報告書におきましては、歯科医師需給に関して今後取り組むべき課題として指摘された問題として、歯科医師数の適正化あるいは資質の向上について示されたところであります。この報告書に基づきまして、歯科大学及び大学歯学部の定員の削減につきまして文部科学省に対しまして要請を行って、歯科医師数の適正化に努めてきたところであります。

 また、資質の向上につきましては、先ほど申し上げました臨床研修の必修化でありますとか国家試験におきます出題内容や出題形式の改善、あるいは国家試験におきます実技試験を導入することについての検討会の開催等についても取り組んでいるところであります。  今後とも、関係省庁に対しまして粘り強く要請するなど、引き続き歯科医師数の適正化と資質の向上に努めてまいりたいと考えております。

○中原爽君 時間になりましたので終わります。
 ありがとうございました。


リロード   新規 編集 凍結解除 差分 添付 複製 名前変更   トップ 一覧 単語検索 最終更新 BACKUP リンク元   ヘルプ  
Last-modified: 2008-03-29 (土) 15:09:19 (4566d)