Top / 145 参議院 決算委員会 3号 平成11年04月07日

○中原爽君
 おはようございます。自由民主党の中原爽でございます。
 質疑に入ります前に、総論的なことを最初に申し上げようかと思っております。
 去る平成九年十二月の国会法等の改正によりまして、昨年の百四十二回通常国会から、衆議院では決算委員会を改組いたしまして決算行政監視委員会を設置されました。また、私ども参議院では、決算委員会とは別に、参議院改革の一環という形でオンブズマン的機能を備えるという趣旨から行政監視委員会が新設されたところであります。
 このように、衆議院、参議院、両院でおのおの委員会の名称や所管が異なるという形でありますけれども、各委員会はそれぞれの特徴を生かした審査あるいは調査を行いまして、国会機能の発揮に努めるということが大事なことであります。どちらがいいというシステムではないというふうに思っております。
 衆議院の予算に対しまして、私ども参議院は決算の審査を重要視するということでありまして、その都度の実績は上げてまいりましたが、特に本院に行政監視委員会が新設されたという状況のもとで、今後はこの委員会の現場におきまして決算審査のあり方あるいは方向性に関する議論を詰めましてコンセンサスを得ておくという必要があろうかと思います。
 私ども自民党といたしましても、党の基本的な方針として、政治を変える参議院の特に独自性ということを掲げております。この中で決算審査の充実あるいは行政監視機能の強化に引き続きまして取り組むこととしております。そして、昨年の九月から、鎌田要人先生を委員長といたしまして政策審議会の中で決算審査の充実の問題を議論しようということを詰めております。近々何らかの形の報告書を取りまとめたいと思っております。
 しかし、私ども参議院の議員だけが決算審査の重要視ということを言及いたしましてもこの改革はなかなか進まないわけでありまして、国民の理解と支持を得るということにもちろん努めるわけでありますけれども、国会議員の活動を支えていただく事務局及び調査室におかれましても、決算の重要視と、参議院の決算重視ということを踏まえて一層の御協力の体制を図っていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
 もう一つお話を申し上げようと思いますが、「会計検査研究」という学術雑誌がございまして、そのナンバー十八号に九州大学経済学部の伊東弘文教授が論文を出されております。この予算と決算にかかわる問題でありまして、まず予算制度が現代化におくれをとっているということを言っておられます。予算は本来あらかじめの見積もりではない、予算は実態として執行過程で実質的に形成され、統制されているということでありまして、事後統制としての決算で、それでようやく予算はその全貌が明らかになる。予算制度はこういう観点から組み立てていかなければいけないと、これは非常に難しい表現でありますけれども。その次に、日本的な事情があるということがありまして、予算は各省庁にとって分捕ってくるべきものなのか。一たび分捕った予算というものは自分のものであるという既得権の観念が非常に強い。したがって、予算から決算までの過程を会計上の循環としてとらえるのではなくて、決算結果を予算にフィードバックさせるという考えが育ちにくい。これはどこかの文献から引用されているようでありますけれども。この概念自体が予算と決算で必ずしも整合的に表裏一体のものとして組み立っていない、こういうふうに言っておられます。
 すなわち、憲法第九十条が国会への提出を要求している決算は収入支出の決算であるのに対し、憲法八十六条が国会の議決を要求しているのは単に予算とされ、収入支出の予算に限定されていないからである、こういう説明をされております。このために、歳入歳出決算は本質的に報告だけの性格を持つにすぎない。したがって、決算は単に報告であって、決算過程にある予算とはみなされていない、こういう表現を使われております。決算過程にある予算、要するに決算と予算は連動すべきものであるということの趣旨であります。
 もっとも、議会はその本能からして決算を単なる報告としては受け入れがたい心情にある、こういうふうに言っている。まことに私の立場の心情的なものがそのまま文章になっているようでございます。議会は、議会というのは国会でございましょうけれども、その本能からして決算を単なる報告として受け入れがたい心情である、こういう表現になっているわけであります。国会の中で現に行われている決算の取り扱いの実態からいえば、決算審査の中で行政官庁の予算執行を批判し、予算編成に反映させることがその時々の政治状況を反映しつつ試みられているというふうな表現の論文の文章でございます。
 すなわち、本当は予算と決算は連動すべきものであるということでありますけれども、今申し上げたような形の中で決算過程にある予算ということが観念的に考えられていないということであります。本来は予算というものは決算に至る経過の中で出てくるものだ、ただ単に見積もりを出したというものではない、こういう趣旨であろうかと思います。  そういうことで、こういう論文が出てまいりましたので、御紹介申し上げた形でございます。
 それでは、質疑をお願いするということになりますが、昨日は同僚の平田耕一委員、山本保委員から、前回の参議院改革で残されました決算の早期提出、それから検査官任命同意の衆議院の優越規定に対する問題を中心的に質疑をしていただきました。その結果、特に検査官の任命同意の関係につきましては、早速、野中官房長官に迅速な対応をしていただきました。決算委員会の理事の一人といたしまして感謝を申し上げたいと思います。  それから、私が申し上げようと思っておりましたのは、今回は御承知のように平成八年度と平成九年度決算を一括して質疑を行うということでありますが、先ほど論文でも申し上げましたように、この二カ年、両年度にわたる問題を一括して審議するということは決して望ましい形ではないというふうに考えておるわけであります。
 そういうことで、昨日の全般的質疑におきまして、平成八年度と平成九年度の決算にかかわる政府の認識と、それから平成十年度の税収見込みについての質疑が行われました。また、岩本荘太委員からは特例国債にかかわります処理の問題について質疑が行われまして、宮澤大蔵大臣から大変わかりやすい御解説をいただきまして感謝いたしております。  私もきょう、同じことを御質問申し上げるということであったわけでありますが、両年度にかかわります剰余金、税収、公債の発行、それから決算の調整資金の組み入れ等、お尋ねする予定でございましたが、昨日詳しく御答弁がございましたので、きょうは少し方向を変えましたことで二点ばかりお尋ねをしようかと思っております。恐縮でございますが、宮澤大蔵大臣に御答弁をお願いできればと思います。
 すなわち、平成八年と平成九年、この決算につきまして、決算上から見て両年度間に起こった特徴的な差異というものがあるわけでありまして、特にこの両年度の間で決算上非常に問題があるというようなことが起こっているかというふうに思います。このことについて政府の御見解をお話しいただければということが一つでございます。
 それから、この両年度の歳入歳出の動向、決算動向から見まして、今後の国の財政運営がどのような影響を受けていくのかということが少し心配でございますので、この点も御解説をいただければと思います。

○国務大臣(宮澤喜一君)
 平成八年度あるいは九年度というのは、実はそんなに昔のことではないわけでございますが、その後の経済が激変いたしましたために、今からちょっと振り返ってみまして、そんなことだったかというような、今日やや意外な感がいたす点が幾つかございます。
 平成八年度は、年度といたしましては、GDPは最近計算が改定されまして四・四%の成長があったということになっております。これがまた、我が国経済がプラスの成長をいたしました最後の年になるわけでございます。この年は、衆議院選挙が行われたりもいたしておりまして、政府は所得税等々の大幅減税を約束いたしまして、ただしそれは、将来その一部は消費税の引き上げによってカバーする、こういうことであったと記憶をいたします。
 それで、先ほど委員が御指摘の純剰余金というのは四千四百億円ほど出たわけでございますけれども、他面で歳入補てん公債を十兆余り出しております。したがいまして、この純剰余金というのは財政的にはかなりの大きなマイナスであった。ただ、剰余金のところだけを見ますと、歳入欠陥を途中で決算で補正をしたりいたして──いや、失礼いたしました。当初予算の税収見込みが五十一兆三千億円でございます、決算としては五十二兆一千億円でございますから、歳入欠陥と申し上げましたのは間違いでございます。幾らか当初予算よりは税収がございましたけれども、しかし、当初におきまして十一兆ぐらいの公債発行を予定しておりますので、結局剰余金というのはそういう性格のものであったということになります。
 九年度になりますと、経済の激変が途中でございまして、この年の秋にタイで為替の大きな変動がございましたのを初めといたしまして、東南アジアで大きな経済変動がございました。そういうことにも関係いたすかと思いますが、我が国では、十一月になりまして大きな証券会社あるいは銀行等の破綻が相次ぎまして、にわかに経済不安が高まった。  しかし、実はそういう推移でございましたが、前の年、平成八年度は経済運営が比較的順調でありましたこともあって、政府はこの九年度にいわば九兆円の国民生活への負担増を行ったというふうに言われておるその年でございます。それは、消費税の引き上げでありますとか特別減税の中止等々、財政改革を大いに目指した。ところが、中途から経済が実は激変をいたしまして、いわばやや首尾一貫しない経済運営、財政運営があったと率直に言うと申し上げなければならないかと思います。
 したがいまして、この年は何度も予算補正をいたしまして、当初の税収は五十七兆円を見込んでおりましたが、最終的には五十三兆九千億円になっております。他方で、この年の国債発行額は十八兆四千億円でございますので、決算上も一兆六千億円の不足を生じておりますが、不足は一兆六千億円にはとどまりませんで、それだけ大きな国債を発行しておるという状況でございますので、財政は極端にこの年に悪くなったと申し上げなければならないと思います。
 しかも、経済成長は当初一・九%を見込んでおりましたが、実際にはマイナス〇・四%になりまして政府見通しは方向においても誤ったということになりますが、この年を契機にいたしましてその後今日までマイナス経済成長が続いておる。
 この八年、九年というものの特色は、申し上げると大体そういうことであるかと思います。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 今御説明をいただきましたように、平成八年度までは剰余金が生じているということでございましたけれども、実態は十一兆円の特例国債が出ているという、そこまではよろしいわけでありますが、九年度に至りまして今御説明がありましたようないろいろな状況が重なったということであります。
 特に、消費税につきましては、ずっと続けておりましたいろいろな所得税等を含めました減税を廃止するという段階と消費税の値上げというものが重なり、またこの年から急激に経済状況の悪化ということでありまして、やはり平成九年度の決算ということについては今までと違った特徴的な年度になったというふうに理解をしているわけであります。  それでは、引き続きまして会計検査院の方にお尋ねをしようと思います。もう各論的なことになりますので細かいことをお聞きするという形になろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 国会から特定事項の検査要請制度ということができまして、平成九年十二月の国会法、それから会計検査院法の改正によりまして国会から特定事項にかかわる検査要請が行える制度が創設されました。この制度の実施状況、それから会計検査院の対応についてお尋ねをしようと思います。
 一つは、国会からこの特定事項の検査要請に基づく検査が会計検査院に依頼をされるということになるわけでありますけれども、もともと会計検査院は御自分の所管といたしまして検査対象にかかわります検査をおやりになるわけでありますけれども、これと国会から出てまいります特定事項の検査要請とのかかわり、同じようなテーマであるという場合もありましょうし、国会から出てくるものはその都度の時局対応というものが非常に多かろうというふうに思いますし、検査院のおやりになるのは通常的な検査ということになります。
 そういうことで、検査対象の選定とそれから検査体制ということから、やはり検査院本来の業務、あるいはこの前からも何とかこういう検査の日程は詰められないかという御質疑もございましたけれども、日程等にこういう国会関係のものがどう影響を及ぼすのかということ、それからそういうことを踏まえて、今後いろいろな形で国会からの検査要請制度に基づいた要請が出てくるわけでありますが、このことについて検査院のお立場からの何か御意見がございましたら、所感をお述べいただきたいと思います。

○会計検査院長(疋田周朗君)
 お答えいたします。
 まず最初に、検査要請の実施状況と本院の対応の状況につきまして御説明申し上げます。
 委員御指摘のとおり、平成九年の十二月に国会法等が改正されまして、国会から会計検査院に対する検査要請が行える制度ができたわけでございます。以後これまで、この制度による検査要請がありましたものは、平成十年四月に衆議院から要請がございました公的宿泊施設の運営に関する件一件でございまして、これにつきましては会計検査院として早速検査を行いまして、昨年の九月にその検査の結果を衆議院に報告したところでございます。なお、この報告書は久世決算委員長からの御要請によりまして、当委員会の委員の皆様にも配付させていただいたところでございます。
 会計検査院といたしましては、今後とも、国会から具体的な御要請がありました場合には可能な限り対応していく所存でございます。
 それから、国会からの検査の御要請に基づく検査と私ども会計検査院が行う検査との関係についてでございますが、国会からの検査要請は極めて重いものと受けとめておりまして、具体的に検査の御要請がありました場合には会計検査院として可能な限り対応すべきものと、このように考えております。
 ただその一方で、会計検査院は、委員御承知のとおり、財政監督機関として一定の責務が課されているわけでございまして、その使命を限られた人員あるいは期間で効率的、効果的に果たすために、毎年、検査上の重要項目などを設定した検査計画を策定いたしまして検査に当たっているところでございます。したがいまして、会計検査院といたしましては、両者の調整が十分に図られ、会計検査の機能が適切に果たされていくことが重要であると考えております。
 そのため、国会からの検査の御要請に対しましては、国会法の趣旨に沿って可能な限り会計検査院としては対応していく所存でございますが、なお国会におかれましても、検査の御要請をなさるに当たりましては、会計検査院の独立性に留意されるとともに、会計検査院の裁量権が確保されるよう事前に十分な協議が図られることなどについて御配慮をお願いしたいと考えております。
 それからまた、複数の委員会等から同種あるいは多数の要請が行われようとする場合には、従来からの会計検査業務の円滑な遂行に支障を来すことがないよう、しかるべき調整が行われるということを望んでいるところでございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 ただいまお話がございましたように、やはり会計検査院は、それの独自性ということとお持ちになっております所管ということも非常に大事なところでございます。国会との調整をできるだけ図っていただくということでございます。私どもも、そういう形で努力をしていきたいと思います。
 それで、引き続きまして、ただいまお話のございました公的宿泊施設の運営に関します会計検査の件でございます。
 これは、今お話がございましたように、衆議院の決算行政監視委員会から会計検査院に対しまして会計検査の結果報告を求めた検査要請案件でございます。御説明ございましたように、私どもの参議院の決算委員会の委員にもこの報告をお配りいただいたところでございます。
 公的宿泊施設の運営ということでありまして、特に、この中でいろいろ施設につきまして対象箇所三百六十六カ所を選ばれまして検査をされたわけでありますけれども、その中で、特に厚生省にかかわります、あるいは社会保険庁を含めました施設が最も多くて百八十八カ所になっているわけでございます。したがって、数が多いというところから厚生省関係のところでお尋ねをしようと思いますけれども、こういった検査を行いました趣旨は、公的施設というこういった施設が、現在民間のいわゆる旅館であるとかそういう施設との関係がありまして、公的施設で行わなくてもいいものはできるだけ省力化しようということが趣旨であろうかと思います。
 したがって、この公的施設の種別とそれを運営しております形態があるわけでありまして、ほとんど委託をするという形で運営されております。委託先は、公益法人であったり財団であったり、あるいは社団法人であったりという形であります。また、厚生省所管の中で、この公的施設の種別というのが四種類ほどに区別されると思います。健康保険保養所等、船員保険保養所等、厚生年金会館、国民年金健康保養センターですか、そういう形になります。
 したがって、今後、御指摘がありましたこういう施設についてどのような形で、省力化という言い方はいけないかもしれませんが、厚生省としてお考えになっておられるかどうか伺っておきたいというふうに思っております。特に、公的施設につきまして、健康増進機能という機能が必要でありますし、単純に宿泊するということではなくて、プラスアルファの健康増進機能を付加するということで考えられているようでございますが、こういった健康増進機能ということの必要性も含めて御説明をいただければと思います。

○政府委員(宮島彰君)
 今、先生の方からお話ございましたように、厚生省の所管の施設につきましては今四種類ございます。それぞれ設置の目的等は異なるわけでございます。
 まず一つは、政府管掌の健康保険の関係でございますが、これはいわゆる本来の保険給付、これを補完する形で今ございましたように健康増進という目的で施設を整備してきているところでございます。
 それから船員保険、これは洋上勤務を主体とする非常に特殊性のある業務でございますので、いわゆる洋上勤務から戻ったときの休養等を主体としたものとしております。  それからあと厚生年金、国民年金、年金関係の施設がございますが、年金は御承知のように拠出から給付まで非常に長い期間を要しますので、その間の被保険者の福祉の向上に資する、もって制度に対する理解を深めていただく、こういう趣旨も踏まえてそういった施設をつくっておるところでございます。
 ただ、こういった公的な特に宿泊施設につきましては、今申し上げましたが御指摘がいろいろございます。そういった御指摘も踏まえまして、かつそういった施設をつくりました当初と比べまして、社会経済環境なり被保険者なり受給者のニーズも大分変わってきており、それに加えて最近の健康保険なり年金保険の財政状況というのも厳しくなってきておりますので、そういうものを踏まえましてこの施設のあり方について今検討しておるところでございます。
 政府管掌保険につきましては、九年の六月に懇談会を設置しまして施設事業のあり方について検討いただきました。その中で、新規施設の設置は基本的に抑える、運営については独立採算制を原則としてできるだけ利用料の適正化なり経営の効率化を進めていく、それから三点目には、いわゆる建てかえ等の時期におきましては、経営の好転が見込めないというものについては移譲なり廃止という形での検討を進めるという御指摘を受けたところでございます。そういう御指摘を受けまして、私どもとしてもこういった施設の今後のあり方を十分検討いたしますとともに、経営の効率化なりあるいはその施設の廃止、移譲等も含めまして今後の対応を進めていきたいというふうに思っております。
 それから、施設の機能といたしましては、こういった施設をつくりました当初におきましては、比較的宿泊のみという非常に単純な機能を持つ施設が主体でございましたが、最近におきましては、そういう単に宿泊ということではなくて、むしろ健康増進という機能をあわせた施設の運営というものを目指しております。特に健康保険関係ですと、そういった健康づくり、体力づくり、こういったものが疾病の発生を予防いたしますし、そういったものがひいては医療費全体の適正化なりあるいは医療保険の財政の安定化にも資する、こういう観点から、かなり健康増進機能を重視した施設のあり方という方向へ最近は変えてきているところでございます。
 以上でございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 今お話がございましたように、こういった公的施設は特に老朽化が進んでいるということを伺っておりますので、建てかえの経費あるいは補修の経費というものが相当かかるようでございます。これからの行政改革にかかわりまして厚生省のサイドといたしましては、よくお調べをいただいて調整していただければというふうに思っております。
 引き続きまして、私ども参議院から警告決議を行っているわけでありますけれども、この警告決議に対しまして政府がいろいろ対策を講じて措置されるわけであります。
 これは、各年度の決算に対しましての警告決議ということになりますが、先ほど来申し上げておりますように決算自体は予算や法律案件とは違いまして、決算の内容が変更になるということはないわけであります。しかし、決算は政府が行います事業の予算執行の最終結果でありますので、その結果として改善すべきところは次年度の予算編成あるいは予算執行に反映されるべきだということはたびたび申し上げているわけであります。
 このことについて、例えば平成三年度の決算のときに、国民年金の保険料につきまして収納の未済額あるいは納付の欠損があるということで、これは毎年多額になっているということの御指摘を申し上げておりました。その後、保険料未納者に対します納付の督促の指導などが行われたわけでありますけれども、平成七年の十二月、政府から警告決議に対して講じた措置ということもお答えが出ているわけでありますが、年度ごとの年金納付の未納者に対します措置ということが余り顕著な効果を上げていないということであります。
 今回は、国民年金にかかわりまして国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律という法案が成立したわけでありますけれども、これはあくまでも従来の保険料を凍結するという先送りのような形になっておりまして、国民年金の納付状況を改善するということではないわけであります。
 申し上げましたように、この基礎年金としての一階部分の拡充ということがこれからの国民皆保険の非常に根幹になる問題でございます。これが未納者が多いということになりますと、これを税金で賄えとか、そういう形の御意見が今出ております。
 こういうことも踏まえて、今後、政府としてどうお考えになるのか、年金、皆保険という意味での年金の基礎の部分を維持するということについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○政府委員(宮島彰君)
 今、先生御指摘のように、国民年金制度におきましてこの未納、未加入の問題というのは大変重要なものというふうに我々も認識しているところでございます。
 国民年金のいわゆる納付状況を示す検認率を見ますと、残念ながら最近は低調な傾向にございまして、平成九年度におきましては七九・六%と前年度に比べまして三・三ポイントほど下がってきております。
 この要因としては二つほど考えられると思いますが、一つは、国民年金の場合、未納と並びまして未加入といいますか、加入されていない方を解消するというものも大きな問題がございまして、私どもとしては、まず制度に入っていただくということを重点課題として取り組んでまいりました。このため平成七年度から三カ年計画で、いわゆる適用年齢であります二十になりますと届け出をお願いするわけでありますけれども、仮に未届けの場合でも年金手帳を送付して適用するというような形で、かなり積極的な適用対策を進めてきておりました。
 ただ、いわゆる二十代の若い方々というのは、過去のアンケート調査等を見ましても、納付意欲といいますか、そういう面で難しい面がございまして、そういう納付になかなか結びつきにくい方々が適用促進をした結果かなり加入いただいたということで、それがひいては検認率というところに影響している面があるのではないかというのが一つございます。
 それからもう一つは、これは国民年金に限らず社会保険全般に共通でございますが、昨今の失業率の上昇に見られるように、経済状況の非常に厳しさがこういった収納率の低下に影響しているのではないかというふうに思っているところでございます。
 私どもとしましては、この未納対策ということでいろんな対策を御指摘を受けたものを踏まえまして取り組んできておりますけれども、一つは、やはり国民年金の保険料の納付というのは約四十年の非常に長期にわたる納付を継続していただくということでありますので、まずもって制度に対する理解というものを持っていただくということがまず大事だということで、そういったための啓発活動を行っております。特に、中学・高校生を対象とした年金教育という形でのものも含めまして、こういった啓蒙啓発活動に力を入れております。
 それから二つ目は、納付しやすい環境をつくっていくということで、まず口座振替を進めようということでいろいろ促進策をやっております。現在、口座振替の利用率は約四〇%でございますけれども、これをできるだけ引き上げるという方策を進めているところでございます。
 それから、この未納の状況を見ますと、特に問題の多いのは都市部といいますか、そういうところが収納率がやや低調であります。都市部の特に若い世代の方々はなかなか平日おられませんので、我々としましては、専任徴収員あるいは電話等を通じまして夜間あるいは休日、こういったところに集中して重点的に納付の督励をお願いするというような施策も進めてきているところでございます。
 収納率が低下していることといったようなことは重く受けとめまして、今後とも未納対策に全力を挙げていきたいというふうに思っているところでございます。

○中原爽君
 御説明ありがとうございました。
 これからの高齢社会を踏まえまして、やはり国民一人一人の年金ということは大変大事なことでございます。これから年金制度につきましても抜本的な改革が行われると思いますが、この一番基本になる納付、この問題がやはり何らかの形で解決されるということが必要であろうかと思います。
 それで、ただいまのこの年金にかかわります問題でもう一つ、総務庁の行政監察局から「年金に関する行政監察結果―国民年金を中心として―」という監察結果がまとまっておりまして、厚生省に対しまして勧告が行われているわけであります。
 このうち、国民年金福祉施設事業の見直しといいますのは先ほど御質疑をいたしました公的な宿泊施設にかかわる問題でございますが、もう一つが国民年金基金の方の問題でありまして、二階の部分であります。この運営の見直しが指摘をされているところでありまして、ここを御説明申し上げますと、国民年金基金における地域型年金については次のように勧告要旨が出ているということでございます。すなわち、地域型基金については、小規模基金の統合を可能とするなどその設立単位のあり方を見直し、効率的な運営を図り、補助金を縮減すること、また委託費の廃止について検討すること、こういうことが言われております。
 この地域型の基金といいますのは、この地域型基金の加入者を含めて国民年金基金、平成八年度で七十二万五千人の加入者であります。
 この年金基金の機構というのは、大体自営業者等においての基礎年金に対します二階建ての部分に当たるわけであります。将来この年金制度改革が進む中で、例えばサラリーマンのような厚生年金だけではなくて零細企業も含めた自営業者ということについて、やはり自営業者に対する年金制度ということもきちっと整理をしていただく、まとめていただくという必要性があろうかと思いますし、これから年金改革を進めていく中で、従来の確定給付型の制度が行き詰まるということでありますとアメリカの確定拠出型、サラリーマンで言えば四〇一K、あるいは自営業者で言えばIRAというような方向がうたわれております。
 こういうことも含めて、政府として地域型のこの年金基金の組織を今後どういうふうに考えていくのか。現在、いろいろな補助金等の行政があるわけでありますけれども、その中身が加入を勧奨するという加入促進にお金が使われてしまうというようなことが多いようでありまして、その指摘もあるわけであります。こういうことも含めて、これからのこの地域型の国民年金基金のあり方ということについて、行政としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○政府委員(矢野朝水君)
 ただいま御指摘がございましたように、国民年金基金というのは自営業者とか農家の方を対象としているわけでございます。
 こういった自営業の方につきましては、御案内のとおり基礎年金しかないわけでございまして、衣食住の基礎的な生活を賄うには十分でございますけれども、より豊かといいますか、より多様な高齢期のニーズにこたえるためにはこの基礎年金だけでは不十分でございます。そういう意味で、二階建てといいますか、あるいは三階建てといいますか、そういったものとして国民年金基金というのがあるわけでございまして、この役割は非常に重要なものだと考えております。
 それで、今回、総務庁の方から勧告を受けたわけでございますけれども、この設立単位の問題でございます。
 これは今、都道府県単位で地域型は設立されておるわけでございまして、これをもう少し合併を促進したらどうか、こういう趣旨の勧告でございますけれども、国民年金の業務というのは都道府県単位で実施されておりまして、国民年金基金といいますのも国民年金と一体的に連携をとって加入促進等を図る必要がある、こう考えておるわけでございます。そういう意味で、今の都道府県単位というのは、効率的といいますか、それなりの意味があるんじゃないかと思います。それからまた、住民に身近なところで実施する、こういうことでございますので、そういった意味でも現在の都道府県単位の地域型基金というのは基本的に維持していくべきじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。
 それから、加入促進につきましても、いろいろ工夫をしておりますけれども、昨今景気が非常に悪い、こういうことも反映して伸び悩んでおるわけでございます。いろんな各種の広報活動、あるいはパンフレットをお送りするとかダイレクトメールをお送りするとか、そういった形で今後とも広報活動には力を入れていきたいと思っております。
 なお、勧告の中で、補助金を廃止するべきじゃないか、こういう勧告もいただいておるわけでございますけれども、この補助金につきましては平成十年度限りで廃止をする、こういう措置を講じたところでございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 補助金につきましては御指摘のような状況でございますのでいたし方ない面があるわけでありますけれども、国全体の年金制度ということであれば厚生年金にかかわるようなサラリーマンだけではないわけでありまして、零細な自営業者の人たちにも確たる年金制度が及ぶ必要があろうというふうに思っているわけであります。  では引き続きまして、これも平成八年の総務庁からの勧告がございました。当時、膨大な医療費がかかるという趣旨もありまして、患者さんがいろいろな医院に重複して受診をするという問題がありました、重複受診者をなくそうということ。それから、当時の言い方で言いますと社会的入院ということがありまして、これも医療費が高騰する一つの原因ではなかろうかということでございました。そういう意味で、重複受診者に対する効果的な保健指導の取り組みをするべきだという御指摘がありました。それから、社会的入院を解消するための具体的な方策を策定、推進してもらいたいという勧告でございました。  そういうことで、平成八年から引き続いている問題でございますけれども、厚生省の対応について御答弁をお願い申し上げたいと思います。

○政府委員(近藤純五郎君)
 まず、重複受診者に対しますことでございますけれども、この重複受診者に対します保健指導といいますのは、医療費の適正化というだけではなくて、やっぱり本人の健康保持という観点からも積極的に取り組む必要があるわけでございまして、行政監察結果に基づきます勧告も踏まえまして、重複受診者等に対します保健指導によりまして効果的に取り組むということで、平成十年度に重複受診者に対しまして保健婦等が訪問指導を行う事業につきまして補助事業を新設いたしたわけでございます。  それから、昨年の六月に訪問指導の手引書をつくりまして、こういう手引としても活用できる、こういうような具体的な事例を盛り込みました通知を都道府県に出しまして、各市町村に一層の保健指導を行えるようにということで指導いたしているところでございます。
 今後とも、健康手帳の活用でございますとか、あるいは指導監査等を通じまして積極的な取り組みをやってまいりたい、こういうふうに考えております。  それから、社会的入院の関係でございます。
 長期入院の方がたくさんいらっしゃるわけでございますが、主として介護を理由といたしまして一般病棟に長期入院されている方、いわゆる社会的入院と言われている方でございますけれども、これは患者本人の処遇の面からも適切でない面も多いわけでございまして、その解消を図る必要があるわけでございます。その数でございますけれども、平成七年の時点で、一般病棟に六カ月以上入院している方のうち、約十万人程度が社会的入院ということで認めたところでございます。
 このために、新ゴールドプランに基づきまして、在宅サービスの充実、こういった介護サービスの供給体制の整備を進めてございますし、それから診療報酬上の関係でも長期療養に対します適正な評価を行う、こういったことを行ってきているわけでございまして、一定の前提を置いて現段階で推計いたしますと七万人程度になっているのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
 今後とも、社会的入院というものの解消に努めることにいたしているわけでございますけれども、特に平成十二年四月からの介護保険制度によりまして、介護を必要とする高齢者に適切なサービスを、施設とそれから在宅でございますが、このサービスを一元的に提供することによりまして一層の社会的入院の解消というものに努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 今お話がございましたように、介護保険が実際に動き始めるということと、平成八年度に出ておりますこの勧告との間の何年かがあるわけでありまして、実質的に社会的入院が解消されるということが、介護保険の成立につながっていくということが大事だと思いましたので、お尋ねをしたわけであります。
 引き続きまして、社会保険庁の関係だと思いますけれども、政府管掌健康保険の生活習慣病予防健診事業につきまして是正改善の措置要求が出ております。このことにつきましては、いろいろ健診事業自体の問題もございますけれども、厚生省とされましてはまた現在、健康日本二十一計画というようなかかわりの中で、疾病にかかってしまったということではなくて、かからないように予防するという意味で一次予防という問題を取り上げていただいていると思いますが、この関係の予算も平成十年からついているわけでございます。
 一通り、この一次予防という概念も含めて御説明をいただきたいと思います。

○政府委員(伊藤雅治君)
 今後の疾病対策におきましては、従来から、病気を早期に発見して早期に治療するという考え方にとどまらず、健康を増進し疾病の発生そのものを予防するという考え方、つまり一次予防が重視されてきているところでございます。そのような観点から、現在いろいろなところで行われております健康診査の事業というものを考えてみますと、健康診査は単に病気を発見するということにとどまらず、生活習慣の改善につなげていくという位置づけが必要ではないかと考えております。
 したがいまして、私ども、現在策定を進めております健康日本二十一計画におきましても、その中で健診事業のあり方につきまして今申し上げたような観点から方向づけをしていきたいと考えておりまして、そのためには検査結果の時系列的なデータの整理ということが非常に重要になってまいりますので、それらのことにつきましてこの計画の中で真剣に取り組んでいきたいと考えているところでございます

○中原爽君
 ありがとうございました。
 病気にかかってからの保健ということも大事でありますけれども、国民のお一人お一人が自分の健康について従来から留意をされる、そして病気にならないように予防に努めるという趣旨が国民全般に行き渡るということが大事なことであろうというふうに思っております。
 それでは、最後でございますけれども、先ほど冒頭で申し上げました参議院は決算を重要視するということについて、参議院の機能としての改革を進めてきた経緯がございますけれども、この際政府から、参議院における決算審議の役割ということについて大蔵大臣はどのような御見識をお持ちか、簡単でございますが、伺って終わりたいと思います。

○国務大臣(宮澤喜一君)
 参議院、特に当委員会が決算につきまして極めて重視しておられますことは、私どもかねてよく存じ上げております。
 決算は、申し上げるまでもないことでございますけれども、予算の執行の実績そのものでございますので、国会において決算を御審査いただくということは、予算の執行が国会でお認めをいただきました所期の政策目的に合致しているかどうかということをチェックし、また御検討をいただいておる、そういう場でございます。
 したがいまして、私ども予算を忠実に執行すべき行政府といたしまして、この部門は国政における極めて重大な部門からの御審議を受けておる、このように観念をいたしております。

○中原爽君
 ありがとうございました。終わります。


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Last-modified: 2008-02-27 (水) 18:23:53 (4593d)