Top / 144 参議院 国民福祉委員会 1号 平成10年12月03日

○中原爽君
自由民主党の中原でございます。限られた時間でございますので、早速始めさせていただきます。
 現在、医療制度と医療提供体制の抜本改革を行うということでありますが、先月の時点では医療審議会及び医療関係者審議会等の進捗状況につきましては報告が出ているところでありますけれども、実はこの医療提供体制という形を言われますと、医師、歯科医師の需要と供給、要するに医師が過剰であったり歯科医師が過剰であったりという場面も含めて、今後高齢社会に対応する医療提供体制をどうするかということになるわけでございます。
 この五月に、医師の需給に関する検討会の報告書が五月十五日に出されております。また、歯科医師の需給に関する検討会の報告書が同じく五月二十九日に提出をされているわけであります。しかし、これは厚生省の検討会という形でありますので、いわゆる審議会とは違いまして、この中身をどうするかということについてはどこかで審議をする場というものがないわけであります。きょう、そういうことも含めて、今後の医療提供体制の抜本改革にかかわりまして、この医療担当者の数の問題をお尋ねしようかというふうに思っております。
 まず、数の問題でありますから、現在、医師、歯科医師の総数がどのぐらい、基本的な人数はどういうことになっているかということが問題になります。
 従来は、厚生省令で定めております二年ごとの年度におきまして、その年度の十二月の終わり、三十一日現在の医師あるいは歯科医師の住所あるいは氏名等、そういったものを年が明けました一月十五日の時点で都道府県の知事を介しまして厚生省へ届けるということの調査で歯科医師総数、医師総数が出てくるわけであります。
 しかし、今回の歯科医師の調査のこの報告書の内容は、従来と違いまして、歯科医籍の登録状況、医師、薬剤師の調査の届け出状況、それから平成七年の生命表から逆算等をしまして算出したということであります。従来の方法では平成八年の実数は八万五千でありますけれども、この別建ての検討会としての調査では九万九千という歯科医師数でありまして、実に一万数千名の差があるということになります。
 したがって、医療を提供する側の人数という問題を考えますと、今後こういった医師、歯科医師の実数を把握するということについてはどのような形で推計をしていったらいいのかという問題が起こりますので、この基本的な数値のとらえ方について厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。

○政府委員(小林秀資君)
今、先生がおただしになられました推計の生存歯科医師数というものをどうやって求めるのかということであります。
 確かに、従来でございますと、年末に例の医師届け出とか歯科医師の届け出を出します。~それを集計すると届け出た数がわかるのでありますけれども、実はその届け出をしなかった人というのはわからないということになります。したがいまして、それを実際に推計でいいから現在生存している歯科医師数がどのぐらいあるかということを把握することが必要になるわけであります。
 そういう意味で、歯科医師の需給に関する検討会の中でこの推計生存歯科医師数をどうにかして求めよということで、平成八年度と九年度に厚生科学研究の中で検討いたしまして、その検討結果で実は推計をしたわけであります。具体的には、先生が今お話しされましたように、歯科の医籍登録状況、それから医師・歯科医師・薬剤師調査の届け出状況及び平成七年の生命表を用いた届け出率を算出し、これをもとに推計の生存歯科医師数を算出いたしております。そして、これを用いてその後の歯科医師の需給の推計をした、こういうことでございます。

○中原爽君 ありがとうございました。
 それで、こういった需給に関する検討会が設置されているということは、要するに医師が過剰であったり歯科医師が過剰であるということでありますので、その削減をどうするか、減らせと、一言で申し上げるとそういう形になるわけであります。
 歯科の場合で申し上げますと、実は昭和六十一年からこの問題がありまして、歯科医師の場合には新規参入歯科医師を二〇%削減しろと、こういうことでありました。新しく歯科医師の免許を取る人について二〇%を減らせと。当時は国公私立の歯科大学、歯学部の入学定員総数が三千四百名でありまして、その二〇%、すなわち六百八十名を減らせと、こういうことでありました。
 その減らし方は三通りありまして、入学者を減らす、入学定員を減らす。それから卒業者数を減らす、要するに卒業させない。それから国家試験の合格者を減らす、要するに国家試験を難しくするという形になるわけであります。その三通りのどれかをとるということでありましたけれども、実質的には、当時、十数年前、入学定員を削減するということで出発をしております。
 このたびの五月の医師の報告書、あるいは歯科医師の報告書につきまして再びこの三点の問題が起こっておりまして、どこの段階でその新規参入者を減らすかということであります。歯科医師国家試験あるいは医師国家試験を難しくするということでありますと、これはいわゆる資格試験ではなくて、入学試験のように定員を決めてその定員以外の者は振り落とす、こういう選抜試験になるわけであります。その問題をこの二つの報告書が取り上げておりまして、資格試験であるべきものに選抜試験を導入するという考えについてはいかがなものかと、こういうことが書かれてあります。
 なお、特に歯科の報告書につきましては歯科医師国家試験の見直しという項目がありまして、要するに入学定員の削減を講じて、さらに新規参入の歯科医師について歯科医師国家試験の見直しを行う、こう書いてあります。すなわち国家試験で振り落とす部分もあるということでありますが、これは今申し上げたように、この国家試験という資格試験の問題上、入学試験と同じような選抜試験を導入するということについて疑問があるというふうに思いますが、この点は厚生省としてのお考えはいかがでございましょうか。

○政府委員(小林秀資君)
平成十年五月に取りまとめられました歯科医師の需給に関する検討会の報告書の中では、歯科医師の資質の向上を図るために今後取り組むべき課題の一つとして歯科医師の国家試験の見直しを行うということが提言をされておるわけでございまして、今、先生がお話しのように、歯科医師数を減らすために国家試験の見直しをしろとまでは書いていないと私どもは読んでおるところでございます。ただ、その報告の中には意味不明なところも若干あるものですからそういうふうに読まれた方もいらっしゃるかもしれませんが、我々の方の考え方といたしましては、歯科医師の国家試験というものは歯科医師として必要な知識並びに技能を評価することを目的として行っておりまして、本来、歯科医師の新規参入抑制を図ることを目的として行うものではない、このように認識をいたしております。

○中原爽君
おっしゃるように、医師法も歯科医師法もそうでありますけれども、第九条に国家試験の目的が書いてあるわけであります。「医師として具有すべき知識及び技能」、歯科医師も同じでありますけれども、同じ文言になります。内容としては、歯科医学あるいは医学、口腔衛生あるいは公衆衛生という多少の違いがありますけれども、九条そのものが国家試験を規定しているということでありますので、国家試験の見直しという文言については、やはり質の向上を図るんだということを基本に置いてこの新規参入についてお考えをいただきたいというふうに思っております。
 それからもう一つでありますが、同じくこの医師、歯科医師の検討会の報告書の中に定年という問題がありまして、医師、歯科医師は自由業でありますから、サラリーマンのような定年という概念は本来ないわけであります。しかし、過剰という問題が起こりますし、それと同時に医師、歯科医師も長寿社会の中で長生きをいたします。そのために長生きをされる医療担当者分だけ総数がふえていくという状況になるわけでありまして、手っ取り早く言えばどこかで引退をしてくれと、こういう話になります。
 したがって、引退の仕方については、昭和六十一年の検討の場合にはどういう形で引退をするかということについては触れておりません。歯科については、七十歳以上の歯科医師が西暦二〇〇〇年に半分ぐらい引退をして、それから二十年ぐらいかけましてゆるゆると引退をしていただいて、西暦二〇二〇年には七十歳以上の歯科医師全員が引退する、こういう理屈でありました。しかし、どういう形で引退をするという形については触れておりません。  今回の報告書は、ここで初めて保険医の定年という項目が出てまいりまして、保険医を辞退していただきたい、こういう形で実質的な定年とするという意見が述べられております。もちろんこれについてはいろいろな議論があるわけであります。
 現在、保険医という制度がありまして、国の国民健康保険にかかわる医療担当者については保険医ということになります。しかし、この保険医を定年で退職するという場合においてはどういう退職の仕方を今後厚生行政としてはお考えになっているのか、概略で結構でございますけれども、御意見を伺いたいと思います。

○政府委員(羽毛田信吾君)
医療保険の側面で考えましても、医師あるいは歯科医師の方の需給という問題については重大な関心事であることは間違いございません。
 ただ、保険医の定年制の問題につきましては、今仰せの報告書あるいは平成八年の医療保険審議会でも指摘を既に受けたところでございますけれども、やはりなかなか難しい問題をそこははらんでおりまして、一つは、現実問題として言えば、現状で高齢の医師の方々が特に地域医療で非常に大きな役割を果たしていただいているというような場面がございますので、そういった面での医療提供への影響という実際問題がございます。
 また、基本的な議論として、保険医という側面でありましても職業選択の制限というようなことになるのではないかというような御議論、やはりこれは重大なこととしてございますし、さらに高齢社会における就業のあり方という全体問題もございます。こういったなかなか難しい問題がございますので、私どもとして現在具体的にスケジュールを持って検討するというところまではいっておらないのが現状でございます。
 今後、医師の養成数等の動向でありますとか、今申し上げました地域医療に与える影響あるいは国民医療全体の動向といったようなことを踏まえながら、関係者の御意見もよく伺いながら慎重にやはり検討していかなきゃならない、現在のところはそういうところにとどまっておるということでございます。

○中原爽君
申し上げましたように、医師、歯科医師は自由業という職業柄でありますけれども、今、国の年金制度の改革につきまして問題になっております。それで、将来、民間型の個人退職勘定と言われているようなアメリカの制度が導入されるという向きもあるわけであります。したがって、こういうような保険医にかかわる定年の問題については、将来、民間保険によりまして、定年退職になった、いわゆる保険医をやめられた医療担当者については何らかの年金制度を考えていきたいというふうに考えているところでございます。
 また時間がございましたらいずれか御質問させていただこうと思います。きょうはこれで時間になりました。ありがとうございました。


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Last-modified: 2008-02-24 (日) 13:37:24 (4596d)