Top / 140 参議院 法務委員会 5号 平成09年03月27日

○中原爽君
 自由民主党の中原でございます。
 このたびの裁判所職員定員法の一部を改正する法律案は、地方裁判所における民事訴訟事件と民 事執行事件の新しい受け付け件数の増加傾向へ対応するということ、並びに平成十年一月施行予定の新しい民事訴訟法と同規則の業務に対応するために判事補及び裁判官、裁判所の書記官の増員を図るという必要性があるということであります。そのことは十分に承知をいたしております。しかし、幾つか基本的な事項につきまして御質問を、お尋ねを申し上げたいと思います。
 持ち時間も短縮をいたしたいと思いますので、質問事項に限定をいたします。
 最初にお聞きいたしますのは、この民事訴訟事件、それから民事執行事件が増加傾向にあるということでありますが、ただ、量がふえるということについて、中身がどういう形で、どういう問題がふえるのかということをお尋ねしようかと思います。
 と申しますのは、この訴訟事件の受け付け件数、平成七年度は平成三年に比較いたしまして一・二九倍増加しているんだと。もう一つ、執行事件につきましては、やはり平成七年の時点で、平成三年に比較しますと、こちらは百分率でありますが五九・四%増加しているんだと、この件については住専の処理、債権回収が本格化するとさらに増加するんだと、こういう御説明でございます。いずれにしても、増加傾向にあるということと、その増加をする実態の中身についてお尋ねをしたいと思います。いかがでございましょうか。

○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君)
 バブル経済の崩壊とその後の経済不況の影響を受けまして、ただいま御指摘ありましたように、民事訴訟事件及び民事執行事件の新受件数は、ここ数年、増加傾向が続いているところでございます。
 その増加の中身でございますが、特に今後どういう事件が増加するかということになりますと、なかなか予測が困難でありますが、あえて申し上げますと、例えば民事訴訟事件につきましては、規制緩和あるいは経済取引の複雑化、国際化の進展等に伴って新たな金融商品、例えば変額保険とかあるいはデリバティブ商品等でございますが、そういった新たな金融商品をめぐる事件、それから知的財産権の関係の事件、あるいは金融機関等の破綻に伴う事件、損害賠償請求事件とかあるいは株主代表訴訟などもそれに含まれるかと思いますが、こういった事件が増加することが予想されます。
 また、民事執行事件につきましては、住宅金融債権管理機構を初めとする金融機関等の不良債権の処理のための不動産執行事件が多数申し立てられることが見込まれると申し上げてよろしいかと存じます。

○中原爽君
 もう一つ、似たような御質問を申し上げるわけでありますけれども、もともと我が国の法曹人口が少ないということでありますけれども、今後我が国が高齢社会に向かいまして、高齢社会における国民生活がこの法曹人口が少ないということによりましてどのような影響を受けるのかということは、高齢社会にとっては大変重要なことではないかというふうに思っております。したがって、法曹人口の割合が外国に比べてどうだということではありませんけれども、この法曹人口が少ないということと高齢社会の国民生活とのかかわり、この点について御意見がございましたらお願いをしたいと思います。

○政府委員(山崎潮君)
 社会の高齢化が進展するとともに、委員御指摘のように、高齢者をめぐる各種の法的紛争が多数生じていくだろうというふうに見込まれるところでございます。このような社会の変化に伴う国民の法的ニーズに適切にこたえていくということは大変重要なことでございまして、法務省といたしましては、このような観点から、我が国の法曹人口について大幅な増加を図るということが必要であると考えているところでございますし、現にその努力を続けているところでございます。

○中原爽君
 それでは、これから高齢社会に向けて裁判に対する国民のニーズというのがふえていくわけでありまして、しかもそれにおこたえをするということが重要でありますが、地方裁判所とあわせて簡易裁判所の役割のあり方、これが相互にいろいろ関連をしてくるのであろうというふうに思います。また、このたびの新しい民事訴訟法とその規則によりますと、特に少額訴訟の手続というのが従来の通常の訴訟手続とは少し異なっているというふうに聞いておるわけであります。異なった手続的な特徴があるんだという御説明がございました。基本的には、簡易裁判所の現行法の民事訴訟の手続の運営をさらに改善をするという趣旨が含まれているのではないかというふうに思いますので、このあたりの手続上の特徴と申しますか、そういったところを少し御説明いただければというふうに思います。
 あわせて、簡易裁判所判事の配置状況につきましては、資料によりますと定員が七百九十四名で欠員が十名というようなデータをお示しいただいておるわけでありますけれども、この簡裁の判事の役を裁判官が兼務をされているということも伺っておりますので、このあたりの人的な配置の状況等もあわせて御説明を伺いたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君)
 国民の側から裁判所を使う場合の問題ということでございますので、主として民事事件について申し上げたいと思います。  地裁、簡裁、これはいずれも、国民の側から持ち込まれます法的紛争を適正かつ迅速に解決するということ、またわかりやすく利用しやすい裁判をやっていくという点ではこれは全く共通でございますけれども、やはりその手続のあり方の特徴等が多少違ってまいります。
 御承知のように、地方裁判所に提起されます事件というのは、訴えの額といいますか、請求金額が九十万円以上という比較的金額の大きな事件が提起されることになっておりますので、どうしてもその手続自体慎重にといいますか、そういう点が出てまいります。そういたしますと、どうしてもその審理期間もおのずから長くなるという傾向がございますが、国民の側からいたしますと、この地方裁判所の裁判につきましてももう少し短い時間で解決をしてもらえないかという要望があるだろうと思うんです。そこが今一番の大きなポイントでございますので、裁判所の方としましても、この地方裁判所におきます民事訴訟の運営のあり方というものを改善いたしまして、できるだけ早期に解決ができるような、そういう工夫をしてきております。また、わかりやすい裁判にするために、判決書の書き方自体も余り難しいものにしないで、御本人がお読みになっても比較的わかっていただけるような平易な判決書というものを考えていこうというふうな、そういう工夫をしております。
 今回の民事訴訟法の改正というのは、こういった実務上の工夫をいわば法制化したものでございますので、今後ともこの新しい民事訴訟法の趣旨にのっとりました集中的な争点の整理と集中的な証拠調べ、こういうものが実現できるような訴訟運営を考えていく必要があろうかと思っております。
 それからもう一つの、簡易裁判所の方でございますが、これはどちらかといいますと、もう少し国民の身近なといいますか、そういうふうなイメージの裁判所として充実させていく必要があるだろうと思っております。
 実は、簡易裁判所に提起されてまいります事件というのは、もうほとんどが双方とも弁護士さんがおつきにならない事件でございます。全事件のうち九割ぐらいは、双方とも御本人だけで裁判をおやりになるという、そういう事件でございますので、どうしても法律の知識が乏しいわけでございますので、地方裁判所の事件の審理とはやはり違ったいろんな工夫が必要になってまいります。例えば、訴訟におなれになっていない方には、どういう手続でその裁判を進めていったらいいかということを御説明するとか、あるいは手続の案内等もいろんな形でやっていくというふうな工夫が必要になってまいります。
 最近の簡易裁判所では、新しいところをごらんになっていただきますとわかるかと思いますが、 受付の窓口のイメージを一新いたしまして、オープンカウンターといいますか、低いカウンターで、裁判所の者が対面方式で、その裁判所に来られた当事者の方等といろいろお話をして、手続の教示をしたりあるいは案内をしたりするような、そういう雰囲気をできるだけつくるような施設も考えております。
 さらに、委員が先ほど御指摘になりました新しい民事訴訟法では、少額訴訟手続という制度が設けられました。これは、市民同士の間での簡単な紛争を、原則として一回裁判所へ出てきていただければ判決まで行けるような、そういう解決方法を用意しようというシステムでございます。国民の利用しやすい簡易裁判所という観点からは、この少額訴訟手続というものを的確に運用していけるような、そういう体制をつくっていく必要があろうかと思います。
 それからもう一つ、簡易裁判所の裁判官の配置の問題がございましたが、裁判所は全国に多数の簡易裁判所を持っておりまして、庁によりましては非常に事件数が少ないところがございます。人一人を配置しておきますと効率が悪いというところがございますので、一部兼務の裁判官になっている庁もございます。
 ただ、このあたりは、実はこの十年来、簡易裁判所の配置の見直しというのをやってまいりまして、戦後すぐの時期とは交通事情も違っておりますし、人口動態にも変化が出ておりますので、今の時代の交通事情なり人口動態に合ったような形に簡易裁判所の配置を見直そうということで、こういう作業を進めてきたわけでございます。
 その作業の過程で、配置を見直すけれども、そのかわり、新しく配置が決まった裁判所については、できるだけ常駐の簡易裁判所判事を配置していこうということで、従前兼務になっておりました庁にも専任の簡易裁判所判事を配置するというふうな努力をやってきておるところでございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 新法に対しますいろいろな解説書の中は、利用者に対する手続の教示というような、そういう表現で、その教示をちゃんとしてくれというような御指摘と申しますか、そういう解説が多いようでございますので、ただいまお話しになりました内容については、十分この手続上の問題が利用者に理解のできるようにお願いをしたいと思います。
 それから、法曹人口の問題と絡みまして、司法試験の状況を改善するために、平成八年度の司法試験から少し改善がなされたと、合格枠制というようなことが実施されたということでございます。そのことについて、どのような目的で、目的についてはそれはわかっておるわけでございますけれども、その実施をいたしました結果、どのような効果が出てきたのかということをお尋ねしておきたいと思います。
 と申しますのは、昭和六十二年から平成五年までの合格平均年齢が二十八歳でございますけれども、これが下がってまいりまして、二十六歳まで下がってきております。また、三年以内の合格者数も、平成七年度以前に比較いたしますと、はるかに合格率がよくなっているということのようでございます。しかし、合格率全体そのものは、この八年度では三%を割っているという状況であります。年間の大学法学部の卒業者数のおよそ一〇%相当の四千人が新規受験者として受験をして、総枠としては二万人程度が受験をすると。従来、合格率が三%程度であったと、こういうことでございますが、それがこのたびの新しい方式でどのような形になったのかということについて、概略御説明をいただきたいと思います。

○政府委員(山崎潮君)
 ただいま御指摘の合格枠制というものは、司法試験の第二次試験の論文式試験の合格者を決定するに当たりまして、おおむね七分の五を全受験者から決定をいたしまして、残りのおおむね七分の二を初回受験から三年以内の者から決定するという制度でございます。平成三年の司法試験法改正によって法制度として導入され、平成八年から実施されたものでございます。
 この制度は、ただいま委員御指摘のとおり、難関と言われる司法試験が、特に昭和五十一年ころから合格率が二%前後という一層難しい試験となりまして、法曹となる資質を持つ多くの人が司法試験を敬遠する一方、法曹を志す者にとっては、定まった職につくことなく何年も受験勉強に専念しなければならないということなど、さまざまな弊害が生じたことから導入されたものでございます。
 その目的は、長い期間をかけてでも法曹を目指す者に合格可能性を残しながら、資質を有する学生や社会人が比較的短期間の勉強で合格できるようにいたしまして、司法試験の魅力を高めまして資質を有する人により多く受験してもらいまして、これらの人ができるだけ早く法律家としてスタートできるようにするところにあるわけでございます。
 平成八年の司法試験の結果につきまして、四点ほど特徴がございますので申し上げさせていただきます。
 まず、受験開始から三年以内の合格者が大幅に増加したことでございます。平成元年の三年以内の合格者は全合格者の一五%でございましたけれども、平成八年は五四・一%になっております。二番目が、合格者の平均受験期間が大幅に短縮されたことでございます。平成元年には六・六六年かかっていたものが、平成八年には四・五二年に短縮されたわけでございます。三番目が、合格者が大幅に若返ったことでございます。合格者の平均年齢は、平成元年が二十八・九一歳、平成八年が二十六・三五歳というふうに下がっているわけでございます。四番目は、大学生の合格者が大幅に増加いたしまして、無職者が減少したことでございます。大学生の合格者は、平成元年が一八・八%でございましたが、平成八年には四三・三%と増加をいたしております。それから無職者の合格者は、平成元年が六三・四%だったものが、平成八年には四三・七%に減少すると。こういうような合格枠制による改善効果が顕著にあらわれているところでございます。
 このような合格枠制の効果が今後定着していくかどうかという点につきましては、なお数年推移を見守る必要があるというふうに考えているところでございます。合格枠制の導入実施により、司法試験が、頑張れば短期間で合格可能な試験になり、法曹にふさわしい資質を有する人がますます多く受験をしていただく、そういうような誘因効果が高まることを期待しているわけでございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 お答えになりましたように、この効果が今後どの程度見込まれるのかということは大変期待をするところでありますけれども、資料でございますと、現状は法曹人口一人に対しまして国民人口が六千六百、したがってイギリスの十分の一ということであります。しかし、国それぞれの事情があるわけでありますから、どの国と同じでなければいけないということではないと思います。我が国独自の国民的な事情もありますので。しかし、現状、法曹人口が少ないということは事実のようであります。したがって、試験制度そのものの改善ということは以前から言われていたところでございますけれども、このたびの制度がある程度効果が出てくるということを期待したいというふうに思っております。
 それからさらに、今回、判事補の増員を含めまして、裁判官の増員計画の全体像ということになるのであろうというふうに思っているわけでありますけれども、平成三年度以降、民事訴訟事件のかかわりで判事補の増員をされてきたわけであります。平成三年で五名、四年で七名、そういった形で、平成六年以降は十名、十二名、十五名と、そういうような増員をしてこられたわけでありますけれども、今回は、民事訴訟プラス民事執行事件の処理という形になりまして二十名増員と、こういうことになっておるかというふうに思います。
 したがって、今回、この訴訟と執行で合わせて二十というのは、今回に限定したような形になるのか、あるいは先ほど申し上げたように、裁判官の増員計画の中の全体像としてとらえたらいいのか、この辺のところのお答えをいただきたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君)
 裁判官の長期の増員計画というものを具体的に立てていくというのは非常に難しい面がございまして、やはり一番の問題は、事件数が今後長期にわたってどういう傾向をたどるかということを予測するというのは非常に難しゅうございます。
 それからもう一つ、裁判官の場合、判事補について申し上げますと、増員いたしました場合、その給源といいますか、増員分をどこから持ってくるかといいますと、これは現実には司法修習を終了いたしました修習生に限定されてくるわけでございます。実は、司法修習生の進路希望というのは、従前どちらかといいますと弁護士さんに偏っておりまして、なかなか裁判官を志望していただける方というのが数に限りがございましたので、そういう点から、仮に枠をお認めいただいても、増員ができる限界というのがあったわけでございます。ただ、幸い、このところ修習生の数も増加してまいりましたので、ある程度着実な増員ができるようになってきております。私どもの方の今回の二十名という増員要求は、そういった状況を踏まえて計算した人数でございます。
 今後の増員計画といいますか、大きな方針としましては、事件数の動向は具体的に予測はなかなか難しいんですけれども、恐らく傾向としましては訴訟事件も執行事件も今後も増加していくんじゃないかというのが一般的な見方であろうかと思いますので、私どもの方、今後とも当面はやはり今年度並みといいますか、こういう着実な増員はお願いしていかないといけないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 同じようなことでありますけれども、今回、裁判所書記官を人員的に増して、特に百五十人増員するということであります。また、これに対しまして、裁判所書記官以外の裁判所職員を減員するという形にもなりまして、増減が二十一名、こういう形になるわけでありますが、これも先ほどの判事補と同じような意味合いで、裁判所職員の全体像として何か将来を目途としたお考えがございましょうか。その辺のところをお聞きしておきたいと思っております。いかがでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君)
 今回の書記官百五十名の増員というのは、近来にない大きな数でございます。これは、最近特に増加してきております民事の訴訟事件と執行事件の処理対策ということで、こういう従前にない増員をお願いしておるわけでございます。
 実は、訴訟事件について申し上げますと、新しい民事訴訟法では従前の書記官の仕事とかなり違った仕事が書記官には期待されております。従前、どちらかといいますと、調書を作成するというのと手続上のいろんな事項を証明するといいますか、そういうことが書記官の主たる仕事であったわけでございますが、新しい民事訴訟法のもとではもっともっといろんな積極的な役割を書記官に期待しようと。訴訟を進めていく上での当事者とのいろんな準備のためのやりとりといったところに書記官に積極的に参加してもらうという、我々の方で使っております言葉ではコートマネジメントといいますか、そういう仕事をも書記官に担当してもらおうと思っております。
 したがいまして、新しい民事訴訟法のもとでの審理のあり方というのを考えますと、今後ともやはり書記官の増員というのはかなりの規模で考えていかないといけないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから、削減の方でございますが、こちらの方は、ある意味では政府の方の定員削減計画に裁判所としてもできる限度で協力をさせていただいておるということになるわけでございます。ただ、私どもの方、事件を処理しております部門というのは、先ほど申し上げましたように、事件数が量的にもふえておりますし中身も難しくなっておりますので、むしろ人員を増加しないとやっていけないというふうに思っております。
 ただ、これと違いまして、事務局の部門といいますか、一般的な人事とか会計とかをやっておりますこういう部門につきましては、これはやはり国のほかの機関の場合と同じように、現下の厳しい財政事情のもとではできるだけ効率化を図って、削減できるところは削減していくという努力は必要だるりというふうに考えまして、そういう部門に限ってこういう削減を今回させていただいたわけでございます。
 今後とも、こういう計画を継続的に実行していく必要があるだろうというふうに考えております。

○中原爽君
 ありがとうございました。
 ただいま御説明がございましたように、平成十年一月以降の新法に対しましてのお考え、したがって、その状況が平成十年以降進めば、また書記官の業務も含めてさらに充実していくという方向性であろうかというふうに思います。今回は、百五十名のうち百名を事務官から振りかえという形で処理をされているわけでありますが、公務員の全体数等も含めて、今後この書記官の役割が重要だとおっしゃっておられるわけでありますので、今後も引き続いて増員計画をどのような形でやりくりをするかということは十分御検討をお願い申し上げたいというふうに思っております。
 それからもう一つ、やはりこの書記官の増員に関係をいたしまして、これから地方裁判所における民事訴訟事件の審理、これをどういうふうに充実させるかということであります。
 今、御説明がございましたけれども、訴訟費用の確定とか督促手続、そういった裁判所書記官の権限が、平成十年以降非常に変わった形、権限が付与されたということにもなりましょうし、公示送達については裁判官の許可を得なくても書記官事務の段階で処理ができるとか、いろいろ新しいことがあるようでございます。それにあわせて、訴訟の規則についても書記官業務、非常に深いかかわりが出てきているようでございます。
 このあたりのところにつきまして、先ほどの増員計画とのかかわりで、もう一度、同じようなお答えをお願いするということになるかと思いますけれども、書記官の業務についてこれからのお考えを御説明いただきたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君)
 民事裁判の場合は、どちらかといいますと迅速な処理というのがこれからの大きな課題になってまいりますので、そのための方策として今回の民事訴訟法が一つ考えておりますのが、書記官に今まで以上にもっと新しい権限をいろいろ与えまして、これまで以上に訴訟の進行に積極的に関与してもらえる、そういう役割を果たさせようという、そういう構想が一つの大きなテーマになっておるわけでございます。
 従前の民事訴訟の審理というのは、どちかといいますと、法廷での各弁論期日、そこだけがいわば訴訟活動の場でございましたので、どうしても効率的な審理というのがなかなかできないという面がございました。
 今回の民事訴訟法の新しい審理のあり方というのは、むしろその期日と期日の間に、できるだけ書記官が積極的に関与をしまして当事者といろんなやりとりをしまして、例えば争点についてお互いの主張を整理したり、あるいは証拠につきましても、準備してもらえるものは期日間にいろいろ連絡をすることによって準備をしてもらって、そういう準備の成果を各法廷での口頭弁論期日に集中的に出してもらうという、こういうふうな進行を、心がけていこうということでございます。
 したがいまして、書記官が訴訟の双方の当事者との間でいろんなやりとりをしながら、訴訟の進行をできるだけ進めていくという非常に大きな役割を担ってくることになるわけでございますので、そういった役割の変化を踏まえて、今後とも民事訴訟の適正迅速な処理のために書記官の陣容 の増強といいますか、そういうふうなことを考えていく必要があるだろうというふうに考えております。

○中原爽君
 最後でございますけれども、ただいま御説明をいただきました書記官業務にあわせまして、新しい民事訴訟法の実施ということについて、裁判所職員の構成あるいはその役割ということが、ある意味では大きく変わるということになろうかと思います。
 したがって、この平成九年度については、そういった関係の準備態勢に入るということであろうかと思いますが、裁判所関係を含めていろいろな研修施設などをお持ちだと思いますので、特に平成十年を目途といたしましたその職員の研修の体制といったものについて、概略の御説明をいただきたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君)
 新しい民事訴訟法のもとでの審理の仕方というのがかなり変わってこないと、これはなかなか国民の側から新しい裁判の運用ができたという評価をいただけないわけでございますので、法の施行の時期までにできるだけそういうことができるような体制をつくっていきたいと思っております。
 職員の研修につきましては、裁判所の場合は、書記官につきまして研修を担当する機関として裁判所書記官研修所という施設がございます。そこで既にもう現在から新しい民事訴訟法のそういう考え方、この理解を深めるための研修というものを開始しておりますし、また各庁ごとにもそういう研究会といいますか勉強会というようなものを組織して、新しい法律の勉強をもう始めてもらっております。
 それからもう一つは、こういう机の上でといいますか、書物を読んだりする形の勉強だけではなくて、現実の事件処理を通じて、上司といいますか先輩である主任書記官とかあるいは裁判官が具体的な書記官の仕事の仕方を一つ一つ指導していくという、いわゆるオン・ザ・ジョブ・トレーニングと申しますか、そういうことも必要になってまいりますので、今後そういうふうな指導体制も充実していきまして、新しい法律の施行に備えたいというふうに考えております。

○中原爽君
 持ち時間の関係もございますので、以上の質問の内容にとどめさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。


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Last-modified: 2008-02-26 (火) 16:56:32 (4513d)